2016年6月に腎臓移植したドナーのブログ

ドナーの立場から腎臓移植に関する事を書いていきたいと思います。レシピエントは弟です。

夫婦って

もうすぐ弟が手術する事を

父親に話しておかないといけないと思い、父親の入院している病院に会いに行く。

言っても理解ができるかどうか、わからないけど。


父親はアルコール性の認知症と言われた。過度のアルコール摂取により、脳の萎縮が激しく、62歳頃には80過ぎの

方と同じ位と言われた。

今では、ご飯を食べると誤嚥をしてしまうので、IVHという高栄養の点滴をしており、寝たきりだ。



おーい、来たよー(^.^)

元気?



私、誰かわかる?



わからん!




N(私の名前)だよ。




Nか?




そうだよ(^.^)




家に帰りたい!


帰してくれ!帰してくれ!帰してくれ!帰してくれ!帰してくれ!





火がついたように連続で言う。





そうだね、頑張って椅子に座れるようになれば、家に連れてってあげるでね。




わかった。




あのねー。

K(弟の名前)が手術するよー。



じゃあ、A(母親の名前)が一人になるから、かわいそうだ。俺を早く家に帰してくれ!

帰してくれ、帰してくれ、帰してくれ、



うん、わかった。また、帰ろうね、

今日は、だめだよ。私はこれから仕事だもんで。



理解できてる?

何の病気でどういう手術をするのかを聞いてこないから、理解できたかどうかはわからない。

だけど、弟と母親が二人で住んでいて、弟が入院しているなら、母親が一人になっているというのは、わかったみたいだ。



びっくりしたのは、母親の事をかわいそうと言ったからだ。

父親の口から母親を思いやる言葉が出るとは、、、、、、。


なぜなら、とても仲の悪い夫婦だったから。



私が物心がついた頃には、いつも夫婦喧嘩していた。

最初はおとうちゃん、おかあちゃん、喧嘩しないで、仲良くして!って思っていたけど、私が成長するにつれ、見方が変わってくる。



小学6年生まで、5階建の団地の4階に住んでいた。

団地の前は大きな公園があり、私はいつもそこで遊んでいた。


ある時、いつものように公園で友達と遊んでいたら、



ズッドーン!


バッシャーン!



と凄い音がした。音がする方を見ると、私の家から、いろんな物が飛んできて、それが落ちてくるのだ。




また、やっとるな?



あんたが悪いだらー💢



おまえがいかんだー💢



大声を張り上げて、また喧嘩してる。




公園にいた子供達や、大人達も物が落ちてくるのを、珍しいそうに集まってくる。



私は、すかさず


みんなー、あぶないから、さがってください!

ケガしますよ!

何が落ちてくるかわかりませんよ!



と、両手を広げて、野次馬たちを近づけないようにした。



その内、少しずつ落ちてこなくなり、

私は野次馬たちに


また、いつ落ちてくるかわからないから、絶対にこの辺には近づかないようにと言い残し、急いで階段を登る。



はあ、はあ、はあ、

家につく。

3階に住んでいる人が怒って文句を言いに来てる。


すみません🙇🏻と私が謝る。




もう、何をやってるの?


また、喧嘩?


いい加減にしてよ!



父親の服はボロボロになり、顔や腕に引っかき傷があり、血がでてる。


母親は両頬が真っ赤になり、腫れ上がり、大声あげて泣いている。



もう、こっちが泣きたい(T_T)

幼な心に、そう思った。



夫婦ってへんなの?


認知症になってても、昔から仲悪くても、思いやれるんだね。


自分が帰りたいから、そう言っただけかもしれないけど。


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